2014年12月31日水曜日

専用の道具を使った 消しゴムハンコの彫り方

以前、どこのお家にもありそうな身近な道具を使った手軽で簡単な消しゴムハンコの作り方について書いたのですが、今回は消しゴムハンコ職人らしく、消しゴムハンコ用の道具を使った作り方についてまとめました。

「何か違いがあるの?」

作り方はほぼ同じなのですけど、細かいところが所々違ったりします。基本の流れの他にも、こういう時にはこんな風にするといい等、今までいろいろポイントを絞って書き貯めた内容もあるので、ここで消しゴムハンコ作りの総まとめ。このブログ記事を読めば、私がたまにやっている消しゴムハンコ教室に行くぐらいの濃さでまとめてみます。

■準備する道具
・消しゴムハンコ用の消しゴム板
・濃いめのえんぴつ、又はシャープペンシル
・デザインカッター
・小さ目の包丁、又は大きめのカッターナイフ
・カッティングマット
・ねり消し
・トレーシングペーパー
・試押し用のインク
・オリーブオイル
・ティッシュペーパー
・彫りたいデザインのイラスト



消しゴムハンコ用の消しゴム板はいろいろな種類が出ていますが、今回はシードの『ほるナビ』を使います。ヒノデワシの『はんけしくん』は彫る時の感覚がポロポロ彫る感じ、『ほるナビ』は弾力があって彫ってまだ引っ付いている部分を引っ張ると、びよーんと伸びる感じがします。好みの問題ですけど、私はどちらかといえば『ほるナビ』が好きなのです。

『ほるナビ』にはトレーシングペーパーがついています。消しゴム板と一緒に、トレーシングペーパーがついているかどうかは要チェック。

オリーブオイルは、消しゴム板についた鉛筆の下書きをきれいにしたり、インクの汚れを取ったりします。私はオリーブオイルを使っていますが、ごま油でも、サラダ油でも、化粧落とし用のクレンジングオイルでもOKです。

■作り方

1.作りたい消しゴムハンコの図案を決める
消しゴム板についているイラスト集、HPのフリー素材、自分で描いた絵や文字、子供が描いたイラスト、消しゴムハンコで作ってみたい図案を考えます。

アニメのキャラクターや漫画や本のイラスト等、著作権があるものは自由に使ってはいけない場合もありますので注意が必要です。

2.図案をトレーシングペーパーに書き写す
彫りたいイラストの図案が決まったら、トレーシングペーパーに書き写します。彫り慣れないうちは、イラストの線の外側2mmぐらいのところにガイド用の点線を引いておくと彫りやすくなります。



3.トレーシングペーパーの図を消しゴムへ転写
「ハンコの絵って反転してるでしょ、反対に絵を描くの?」
と、よく聞かれますが、そんな大変なことはしません。というか、そんな大変なこと私がようやらん(笑)

トレーシングペーパーに描き写すのには理由があります。もちろん、元のイラストをそのまま写し取りたいという理由もありますが、紙質のせいなのかなんなのか、トレーシングペーパーに描き写す方が描いたイラストが消しゴム板に転写しやすいのです。

消しゴム板は、袋から取り出したら、まずはティッシュペーパーで表面を傷がつかない程度に軽く拭き取ってください。消しゴム板には、暑いところで消しゴムが溶けて袋にひっつかないように表面に細かい粉がついています。この粉を取り払います。私はイラストがクッキリ写って欲しいので、ねり消しを使って粉を綺麗に取り除いてから転写しています。

写真の消しゴム板の右手前がねり消しで掃除した部分です。黄色が少し濃くなっているのが分かるかな?



もし、ふき取るのを忘れて転写してしまうと、写真のように下書きがボケてしまいます。


粉を拭き取ったら、イラストを消しゴム板に写します。消しゴムハンコ用の消しゴム板はサイズが148×100mmのハガキサイズ。大きな消しゴムを切り取って消しゴムハンコを作っていくので、転写する時にイラストを消しゴム板の端の方に写すと消しゴム板を無駄にせずたくさんの作品が作れます。

鉛筆で描いた面を消しゴムに当てて、動かないように固定し、爪の裏側や鉛筆の後ろ、コイン等でこすります。道具を使うのがめんどくさい私はいつも爪の裏側でこすります。



まんべんなくこすったら、びっくりするぐらいクッキリハッキリイラストが消しゴム板に写ります。

トレーシングペーパーを指で押さえながらピラっとめくってみて、写りが薄い部分があったら、もう一度、ずれないようにトレーシングペーパーをかぶせて消しゴム板へ転写します。



詳しい説明は「下書きイラスト(図案)を消しゴムハンコへ転写する方法」に動画付きでまとめています。ぜひそちらもチェックしてください。

消しゴムハンコは下書きが超重要!線通りに彫れた時が一番きれいに彫れるので、手を抜かずに綺麗に転写しましょう。

4.彫りたいハンコの切り出し
イラストが転写できたら、消しゴムハンコ板から彫りたいハンコを切り出します。消しゴムハンコ板は厚さが1cmちょっとあるので意外と手ごわい。大きめのカッターナイフかミニ包丁を使うと、刃がぐにゃっと曲がることもなくやりやすいです。

ここでカッティングマットを使います。マットの上に消しゴムハンコ板を置いて、切り抜きたい場所へカッターをグサッとカッティングマットにつくまで深く突き刺します。突き刺したらそのままナイフを動かさずに消しゴム板を動かして切り出します。この時、ナイフの刃はカッティングマットと垂直、又はやや外側にナイフの刃が倒れるようにします。


イラストの下に厚みがないと持ち手を付けた時にグラグラしてしまいます。そのまま押す時にも持ちにくくなってしまいます。

5.消しゴムをデザインナイフで彫る
彫りたいハンコが切り出せたら、次はいよいよ印面を彫っていきます。

文字もイラストも、みんな直線と曲線の集まり。ということは、直線と曲線が上手く彫れたらどんなデザインでも彫れるようになりますよね。

というわけで、最初は直線と曲線の彫り方を練習してみるのもいいですよ。
練習方法は、『消しゴムハンコの彫り方 初心者編(直線・曲線)カッターの使い方に慣れよう!』に動画入りでまとめていますので、消しゴムハンコを彫ったことがない方は、ぜひ試してみてください。

印面は、最初はイラストの輪郭から彫っていきます。

初めて彫る人が一番わけがわからなくなるのが、カッターの刃の倒し方。イラストの方向が変わったらどちらに倒せばいいのやら??となりがちです。

右利きの人は、カッターナイフは常に右斜めに倒して固定、消しゴムをカッターの刃に合わせて動かしながら彫ると覚えておくと分かりやすくていいですよ。



輪郭を彫る時には刃の深さは3mmぐらい、輪郭線から外側へ斜めに刃を倒して彫っていきます。輪郭の外側はカットしてしまいますのでやや深めに彫っても大丈夫です。

輪郭線をグルっと一周したら今度は逆向け。ココが混乱ポイント!この時も消しゴムハンコの向きを変えるだけで、カッターの刃は右に斜めに傾ける、ここは変わりません。輪郭線に向かってカッターの刃を入れて、ぐるっと一周彫っていきます。



こうすると消しゴムの中でV字にナイフの刃が重なって周りがポコッとくり抜けます。



もし、カッターの刃を消しゴムと垂直に入れてしまうと、何度も同じライン上を彫ることになり、ハンコを押した時に、イラストの線がガタガタになります。刃を斜めにしてV字に彫ると、左右2回刃を入れるだけで彫りたい部分が浮き上がり綺麗なラインが描けます。

輪郭が彫れたら外側の余ったところを取り除きます。りんごの皮むきをするようにハンコを持ち、カッターで外側を切り取っていきます。 角の部分は面取りするように角を落としておくと余分なインクが付くのを防げます。



外側が彫れたら次は内側を彫っていきます。




輪郭を彫っていった時と同じやり方でV字でくり抜くように彫っていきます。



この彫り方は文字を彫る時も同じです。文字自体を白抜きにしたい時には文字自体をV字で、文字残したい時には文字の周りをV字に彫っていきます。文字の彫り方は、『消しゴムハンコ 文字の彫り方』に詳しく書いています。

消しゴムハンコの彫り方の基本はV字に彫る、の繰り返しですが、彫っているうちにいろいろ気付くことがあるものです。こんな時にはこんなやり方をするとという方法をメモ的に『消しゴムハンコのテクニック 私の裏技的彫り方』にまとめました。そちらもご参考にどうぞ。

上手に彫れるようになったら、彫りカスも全部繋げて綺麗にくり抜くことが出来ます。綺麗に彫れるようになるには精進精進、頑張って練習しましょう。



全て彫れたら、ねり消しを使って印面を掃除します。



細かいデザインほど、彫った溝にカスが入り込んだりします。そのまま押してしまうと、押したところにも彫りカス模様のおまけがついてきてしまいますよ。

6.試し押し
さぁ、試し押しをしてみましょう。この瞬間はいつもドキドキ。

ハンコは左手に、インクは右手に持って印面を叩きつけるようにポンポンとインクをしっかりつけたら、紙にポン!



押してみて、修正を加えたほうがいいところがあれば、調整して試押し。納得いくまで何度も調整します。


7.印面を綺麗に掃除
出来上がったら、印面を綺麗に掃除しましょう。
転写する時に写った鉛筆の色は、洗っても、ねり消しで落とそうとしてもなかなか落ちなくて、このやり方を知った時にはあまりにもきれいに落ちるので感激してしまいました。

鉛筆汚れを落とすための必須アイテムはオリーブオイル!

オリーブオイルをティッシュペーパーに数滴たらして印面を拭きとります。気持ちがいいほど綺麗に落ちますよ。



さぁ、これで完成です。

持ち手はある方が押しやすいので、ぜひつけることをお勧めします。持ち手についてはいろいろ思うことがあるので、『台木を語る!消しゴムハンコ 持ち手の付け方・選び方』で語っています。



消しゴムハンコを上手に彫るには、ポイントをつかむことと慣れ。たくさん練習して自由自在に彫れるようになりましょうね。




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